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メッセージ

活発なコミュニケーションを原動力に、
国内外のお客さまへ価値ある
ソリューションを提供してゆく。

社長インタビュー

2026(令和8)年に創業100周年を迎えた楠本化成株式会社。好業績を維持するなかで、国内外で積極的な設備投資も進める楠本慶太・代表取締役社長に、100年目に到達した現在の状況と、力強く広がる次の100年目に向けた未来構想についてインタビューした。

Q楠本化成株式会社100周年を迎えられ、トップとして、どのような思いを抱かれていますか。

当社の経営理念「豊かな会社、豊かな社員」のもと、社員の生活と心が豊かであってこそ、価値のあるものが生まれる。そのような好循環がこれからも続いていくことを理想としています。
100周年を迎え、これまでの歴史を次の100年の成長へとつなぐため、会社の価値を高めると同時に、社員が前向きにやりがいを持って働ける環境づくりに取り組むことが私の重要な使命です。
歴代経営者の遺志を継ぎ、築いてきた良き伝統を大切にしながらも、新たな伝統と融合させ、時代に応じて進化し続けなければなりません。
これまで当社は、時代を先取りした事業展開と迅速な意思決定、そして役員と社員の距離が近い円滑なコミュニケーションを強みに成長してきました。これらの良き伝統を継承し、現在もそれが体現できているかを絶えず自問自答しながら、さらなる前進を続けてまいります。

Q楠本社長が先導されてきたグローバル化は、今後どのように展開するのでしょうか。

各事業にはそれぞれの戦略がありますが、グローバル化とは単に海外展開を進めることではありません。「日本を含めた世界」として捉える視点が必要です。かつてグローバル化が重視された時代には、海外拠点は好調でも日本法人が低迷する例が少なくありませんでした。たとえ全体の業績が伸びていても、日本市場での基盤が弱ければ、健全な企業とは言えません。日本で確固たる地位を築き、日本の本社が万全であるからこそ、世界で事業が成り立っているという共通認識が重要です。本社の求心力が失われれば、海外拠点は分断され、統一した経営は困難になります。そのため当社では、日本の本社が強固な基盤を持ち、戦略を発信・統括する拠点であり続けることを、グローバル展開の大前提としています。

Q次の100年に向けてのビジョンを、中核となる添加剤事業からお聞かせください。

添加剤事業では、サステナブルやリサイクルへの対応を重要なテーマとしています。これまでもVOC(揮発性有機化合物)の少ない水系添加剤シリーズなどを開発してきましたが、用途は自動車向け塗料などに限定されてきました。当社は総合添加剤メーカーとして、少量多品種の生産スタイルを強みとしており、各製品がどのような効果を発揮するのかを理論的に示し、市場にわかりやすく伝えることを重視しています。そのうえで、環境ニーズに適合した特性を備えた製品へと進化させるため、技術力の継続的な強化に取り組んでいます。さらに、従来の延長ではなく、新たな視点からサステナブルやリサイクルを実現する添加剤カテゴリーの創出にも挑戦しています。本年9月稼働の新研究所では、基礎研究から実験・試作までを通じ、次世代につながる開発力を高めていきます。

Q創業以来の基幹事業である化成品事業は、どのような構想をお持ちですか。

グローバル戦略の強化に向け、これまで社内で専門性を高めてきた国際営業本部を本年度から化成品事業部に組み入れ、来年度以降は同一組織として、よりグローバルに特化した体制へ再編します。これにより、海外市場へのアプローチを一層強化していきます。

タイの現地法人では、2025年12月の増資を経て2026年7月から商社機能を付与します。メーカーでありながら、添加剤の輸入販売や現地企業からの輸出支援、日本の原料メーカーの海外展開サポートが可能となります。商社ビジネスの中国依存を見直し、インドや東南アジアへ供給網を分散する計画を進めています。

こうした取り組みを推進するうえで、国際的なコミュニケーション力を備えた人材の強化は不可欠です。新体制として再スタートする化成品事業には、国内外に広く目を向け、実際に海外へ足を運び、現地と向き合う姿勢がこれまで以上に求められています。

Qエタック事業は、業績安定期に入っていますが、今後の課題はどこにありますか?

受託試験事業の立ち上げ当初は、環境試験器を一度導入すれば試験内容は変わらず、減価償却が終われば利益が出るという考え方が一般的でした。しかし当社では、世の中のニーズは常に変化していくと考えていました。実際、主力顧客の事業動向を見ても、5年単位に技術や市場のトレンドは大きく移り変わっています。そのため環境試験器についても、5年先を見据えて新たなニーズを先取りし、5年間で設備投資コストを回収できるサイクルを回してゆく仕組みが今後も基本になります。

自動車業界においても、バッテリーEVの動向に加え、自動運転システムや運転支援技術の進化など考慮すべき要素は多様化しています。こうした技術潮流を的確に捉え、顧客との密なコミュニケーションや他社との連携を通じて成長につなげていきます。

QCNT事業の単層カーボンナノチューブビジネス、今後の展望をお聞かせください。

CNT(カーボンナノチューブ)事業に参入した最大の理由は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)が裾野の広い市場を持ち、その機能に無限の可能性を感じたからです。
事業立ち上げ当初はバッテリーEV(BEV)向け用途が生産の大半を占めていましたが、現在は特定の分野に偏ることなく、バランスの取れた取引先構成へと移行しつつあります。SWCNTは当社の技術力を活かして高付加価値化が図れる素材であり、売上への貢献が期待される一方で、短期的な成果のみを追うのではなく、将来性を見据えて長期的な視野で市場開拓を進める方針です。
今後は、特にプラスチック分野における物性や性能の向上に貢献できると考えており、新たなビジネスの柱として有望視しています。さらに、本事業のさらなる成長に向けて、管理棟や検査室を併設した最新鋭のSWCNT専用工場を、遅くとも3年後の稼働を目指して計画しています。

Q200周年に向けて、メッセージをお願いします。

現在、そして未来のお客さまに対して「困りごとがあれば、何でも当社に相談してほしい」と言っていただける存在でありたいと考えています。そのためには、まず何度も足を運び、顔見知りの関係を築くことが欠かせません。極めて基本的なことですが、仕事は人と人との信頼関係の上に成り立つものだと思っています。
社員の皆さんには、かつて私が感じた先輩社員の姿勢——「他社に負けたくない」「最後までやり遂げる」という気概——を大切にしてほしいと思います。当時の仕事のやり方をそのまま踏襲することはできませんが、その精神は今も変わらず必要なものです。これまでの延長線ではなく、新しいことに挑戦し続けることでこそ、お客さまに喜ばれるソリューションが生まれ、当社企業理念である「Solution for Future Technologies~未来の価値ある技術革新のために~」の実現へとつながります。200周年に向けた新たな伝統を築くため、全社一丸となって前進していきます。